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【第45回石橋湛山賞】河村小百合さん『日本銀行 我が国に迫る危機』が受賞

石橋湛山記念財団が主宰する第45回(2024年度)石橋湛山賞の受賞作が発表されました。

 

第45回石橋湛山賞が決定!

第45回石橋湛山賞は、全国の有識者から推薦された多くの著作の中から、次の通り決定しました。

 
<第45回石橋湛山賞 受賞作品>

河村小百合(かわむら・さゆり)さん
『日本銀行 我が国に迫る危機』(講談社現代新書)

 
著者は、黒田東彦総裁の下で日本銀行が異次元金融緩和を長期にわたって続けたことにより、日本経済や財政運営に大きなひずみとリスクを与えたと指摘しています。欧米諸国の中央銀行が行った金融緩和策は、短期的な危機管理として出口戦略も早くから検討されていたのに比べ、日本では異次元緩和がアベノミクスの放漫財政を助長する道具と化したと分析。その代償として財政破綻の危険性を強く訴え、戦後の日本やアイスランド・ギリシャでの事例や豊富なデータをあげてリスクを検証しています。そして政府や日銀に場当たり的な運営ではなく、腰を据えた政策運営を求めるとともに、国民一人ひとりが危機感を共有しなければ、この困難な状況を乗り越えることができないと警鐘を鳴らしています。こうした視点や問題意識はきわめて時宜を得たものであり、多くの読者に理解してもらいたい内容であると評価され、今回の受賞となりました。

 
なお、授賞式は2024年11月19日(火)15時30分より東洋経済ビル 9階ホール(東京都中央区日本橋本石町 1-2-1)にて開催。

 

受賞者・河村小百合さん プロフィール

1988年に京都大学法学部卒業、日本銀行入行。1991年、株式会社日本総合研究所入社。2001年主任研究員、2014年上席主任研究員、2019年主席研究員。財務省財政制度等審議会財政制度分科会委員(現職)、国税庁国税審議会委員、厚生労働省社会保障審議会委員、内閣官房行政改革推進会議構成員(民間議員)等を歴任。

著書に『中央銀行の危険な賭け: 異次元緩和と日本の行方』(朝陽会、2020年)、『中央銀行は持ちこたえられるか――忍び寄る「経済敗戦」の足音』 (集英社新書、2016年)、『戦後80年はあるのか 「本と新聞の大学」講義録』(共著、集英社新書、2016年)、『欧州中央銀行の金融政策〔世界の中央銀行〕』(金融財政事情研究会、2015年)など。

 

石橋湛山賞について

石橋湛山賞は、石橋湛山記念財団が東洋経済新報社の元主幹で内閣総理大臣も務めた石橋湛山(いしばし・たんざん)を記念して、1980年に創設。東洋経済新報社と経済倶楽部が後援。

政治経済・国際関係・社会・文化などの領域で、その年度に発表された論文・著書の中から、石橋湛山の自由主義・民主主義・国際平和主義の思想の継承・発展に、最も貢献したと考えられる著作に贈られてます。

政界・経済界・学界・マスコミ関係者から寄せられた推薦論文・著書をもとに、財団理事・評議員による選考委員会が授賞候補を数点~十数点に絞ります。この中から最終選考委員の伊藤元重さん(東京大学名誉教授)、藤原帰一さん(東京大学名誉教授)、酒井啓子さん(千葉大学法経学部教授)、加藤丈夫さん(元国立公文書館館長)、山縣裕一郎さん(経済倶楽部理事長)、田北浩章さん(東洋経済新報社 代表取締役社長)の合議を経て、最終選考委員会の場で決定します。

 

日本銀行 我が国に迫る危機 (講談社現代新書)
河村 小百合 (著)

2013年日銀が「量的・質的金融緩和」(異次元緩和)を始めてからもうすぐ10年が経つ。世界経済の急激な局面の転換によって、わが国は、この“超低金利状態”を維持できるかどうかの瀬戸際、まさに崖っぷちに立っている。これまでの放漫財政路線を安易に継続し、異次元緩和を強引に押し通し続けようとすれば、遠からず、どういう事態に陥るのか。そして、それを回避するためには、私たちは何をなすべきなのか。世界の中央銀行の金融政策と財政に精通したエコノミストが警鐘を鳴らす。

異次元緩和は限界
日銀がいくらでも国債を買い入れられた
時代はもう終わりだ

●長期金利は“糸の切れた凧”に
●新規国債発行ストップで、社会保障費も防衛費も義務教育の国庫負担金も一律4割カットに
●財政破綻したギリシャは預金者1人・週当たり5万強の預金引き出し規制に
●最悪の事態を回避できる道はないのか

 


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