南海トラフ地震に専門家が警鐘を鳴らす!鎌田浩毅さん『M9地震に備えよ』が刊行
地球科学の第一人者、鎌田浩毅さん著『M(マグニチュード)9地震に備えよ 南海トラフ・九州・北海道』がPHP研究所より刊行されました。
東日本大震災以降、日本各地で活発な地震活動が続いており、1月に発生した能登半島地震では、300人以上の犠牲者が出ました。さらに8月8日にも宮崎で震度6弱の地震が発生。南海トラフとの関連も懸念され、気象庁は調査を開始しました。著者は、「日本はいま『大地変動の時代』に入っており、巨大地震が立て続けに起こる危険性がある。特に、M9と予測される南海トラフ地震は2040年までに起きる」と本書で警鐘を鳴らしています。
日本列島は一千年ぶりの地殻変動期に入った
1月に発生した能登半島地震をはじめ、2024年は震度4以上を観測する地震が多くなっています。
1月から7月までに震度4以上を観測した地震は98回。23年は41回、22年は51回なので、今年は中規模以上の地震が多く発生している状況です。
著者は、これらの活発な地震活動について「2011年に起きた東日本大震災により地殻変動が一千年ぶりの活動期に入ったことと、約百年おきに襲ってくる南海トラフ地震による地盤の変動。この二つの大きな歴史的なサイクルから生じている」と指摘しています。
2040年までに南海トラフ巨大地震が起こる理由
巨大地震の中でも特に心配されているのが、南海トラフ地震です。この地震は、震源域が東海地震、東南海地震、南海地震の三つに分かれており、連動して発生します。
一番南寄りに位置する南海地震には地盤が規則的に上下する特性があり、1回の地震で大きく隆起するほど、次の地震までの時間が長くなるという規則性が見られます。著者はこれを利用して、根拠をとなるデータを図示(図2-1-3)しながら、次に南海地震が起きる時期を算出。
前回発生した1946年の地震で隆起した1.15メートルから等速度で沈降すると仮定すると、ゼロに戻る時期は2035年となります。これに約5年の誤差を見込んで、2030年~2040年の間に南海トラフ地震が発生すると警告しています。
なお、予測される南海トラフ地震のマグニチュードは9.1で、関東から九州までの広い範囲に震度6以上の大揺れをもたらします。
巨大地震にいかに備えるか
本書は、この巨大地震のメカニズムとイメージを多くの読者に理解してもらえるよう図版や写真を多用し、なるべくわかりやすい表現で解説しています。
著者は、
「南海トラフ巨大地震は今から約十年後に起きる」
「被害規模は東日本大震災より10倍大きい」
「総人口の半数6800万人が被災する」
という予測を大胆に示し、「この三項目だけでよいので、皆さんの家族・友人・会社・コミュニティの方々へしっかり伝えていただきたい」と訴えています。
さらに「今から準備に着手すれば犠牲者の8割、インフラ被害の6割まで減らせると試算されている」とも述べ、自分が暮らす地域ではどうやって命を守ればよいのかを真剣に考えて欲しいと結んでいます。
【本書の内容】
今後、東日本大震災と同じマグニチュード9の巨大地震が、三つ起こる可能性があります。震源域はそれぞれ、千島海溝と日本海溝、南海トラフ、九州・沖縄沖の琉球海溝です。本書ではこの三つの巨大地震について取り上げるほか、犠牲者最大2万3000人と推測されている首都直下地震や房総半島沖地震、2020年代に桜島や有珠山が噴火する可能性など、警戒すべき大地震を平易に解説します。
[項目例]
●東日本大震災以降に内陸地震が増加
●千葉県直下にプレートが3枚
●関東大震災の再来と元禄関東地震
●首都直下地震――帰宅困難者800万人、避難所生活者290万人
●地震発生確率の読み方
●南海トラフ巨大地震の被害想定
●九州・沖縄沖の琉球海溝M9地震
●高層ビルを襲う長周期地震動
●日本海東縁部ひずみ集中帯の地震と津波
●M9クラスの日本海溝・千島海溝地震
著者プロフィール
鎌田浩毅(かまた・ひろき)さんは、京都大学名誉教授、京都大学経営管理大学院客員教授、龍谷大学客員教授。1955年生まれ。東京大学理学部地学科卒業。1997年より京都大学大学院人間・環境学研究科教授。理学博士(東京大学)。専門は地球科学・火山学・科学コミュニケーション。ドラマチックで巧みな語り口で行なう講義は多くの学生を惹きつけ、京大人気No.1講義として知られた。YouTube「京都大学最終講義」は108万回以上再生中。
著書に『知っておきたい地球科学』『火山噴火』(以上、岩波新書)、『地球の歴史』(中公新書)、『富士山噴火と南海トラフ』『地学ノススメ』(以上、ブルーバックス)、『西日本大震災に備えよ』(PHP新書)、『新版 一生モノの勉強法』(ちくま文庫、雑学文庫大賞受賞)など。
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