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美術館通いで寿命が延びる!全米ベストセラー『アート脳』が刊行

『アート脳』(スーザン・マグサメンさん、アイビー・ロスさん共著)がPHP研究所より刊行されました。

全米でベストセラーとなった本書は、脳科学者とGoogleのデザイン責任者の二人によって、アートが私たちの身体と心の健康上の問題に働きかけ、驚くべき効果を発揮することを世界で初めて解説したものです。『NYタイムズ』で世界的ベストセラー『GRIT』の著者アンジェラ・ダックワースさんが「アートが脳と体をどう変化させるかを初めて明かした実践ガイドだ」と絶賛し、一躍話題となりました。

 

脳科学者とGoogleのデザイナーが、絵画や音楽の健康効果を解説

著者の一人であるスーザン・マグサメンさんは、ジョンズ・ホプキンス大学医学部ペダーセン脳科学研究所応用神経美学センターのインターナショナル・アーツ+マインド・ラボ(International Arts + Mind Lab)を運営する所長で、アートと脳の関係を研究する脳科学者です。

もう一人の著者であるアイビー・ロスさんは、Googleのハードウェア部門でデザインを担当するバイス・プレジデントで、200以上の国際的な賞を受賞しており、2019年には、『ファスト・カンパニー』誌の「ビジネスにおいて最もクリエイティブな100人」で9位に選ばれています。

 
◆神経美学がアートへの認識を変える

一般的に、アートは娯楽や現実逃避だと思われることが多いですが、神経美学の観点から著者は、「アートは身体とメンタルヘルスに関わる健康上の深刻な問題に働きかけ、驚くべき効果を発揮する力がある」と訴えます。

神経美学とは、アートや美学が生理学的に人間の心身にもたらす影響を研究する分野で、近年、脳とアートの関係を示す重要なエビデンスが次々と発見されています。例えばバーチャルリアリティ(VR)を体験したり、詩や小説を読んだり、映画や音楽を鑑賞したり、踊ったりすると、あなたには生物学的な変化が生じます。具体的には神経化学物質、ホルモン、エンドルフィンの分泌を促し、感情が解放されるのです。

 
◆アートが人を健康にする

アートがもたらす健康への影響は、下記のような事例も報告されています。

●ニューヨーク州では、アルツハイマー病が進行した男性が昔聴いていた曲を聴き、5年ぶりに息子を認識した。
●フィンランドでは、産後うつを患った母親がわが子に歌を歌い、抗うつ剤だけに頼るより早く回復している。
●バージニア州では、緊急救援隊員が絵を描くことによって最前線での救助活動のトラウマを解放した。
●絵を描くことを取り入れたプログラムで早期介入を行なったところ、PTSDが80%以上減少した。

 
本書では、アートが心身に影響を与えるメカニズムから具体的な実験結果、アートの効果的な取り入れ方までを解説。現在、生物学的な発見や研究成果によって、アートに基づく個人に最適化された疾病予防やウエルネスプログラムが相次いで開発され、世界ではアートが健康管理と公衆衛生の主流に位置づけられようとしています。

 
【本書の内容】

美術館などのアートに定期的に触れる人々は死亡リスクが31%低い、45分間のアート創作に取り組むだけでストレスホルモンのコルチゾールが低下、ぬり絵をすると集中力が高まり脳内で瞑想と同じ効果をもたらすなど、あらゆるアートには健康・ウェルビーイング・学習・繁栄を促進する効果があることを具体的に明らかにします。またビジネスパーソンのみならず子供から高齢者まで生活のなかにアートを取り入れる手法を順序立てて紹介します。

 

本書の構成

はじめに 人間を変えるアートの効用

テスト 生活にアートを取り入れる―美的マインドセット

Chapter1 体と美の不思議でおもしろい関係―アートの解剖学

Chapter2 部屋の照明、周囲の音、匂いが最高の美的経験になる―幸福感を育む

Chapter3 自分を取り戻すために、描く、歌う、踊る、作る―メンタルヘルスの回復

Chapter4 アートが寿命を延ばす?のような本当の話―体を癒す

Chapter5 仕事と学びに遊び心を!―学習を拡張する

Chapter6 マンネリ気味の日常を変える6つの条件―持続的幸福

Chapter7 人類はアートとともに進化する―コミュニティの構築

おわりに 未来のアート

 

著者プロフィール

 
■スーザン・マグサメン(Susan Magsamen)さん

ジョンズ・ホプキンス大学医学部ペダーセン脳科学研究所の革新的な取り組みである、応用神経美学センターのインターナショナル・アーツ+マインド・ラボ(International Arts + Mind Lab、IAMラボ)創設者で、現在は同施設のエグゼクティブ・ディレクターを務めている。脳科学とアートを融合し、アートや美的体験に対する反応が、神経生物学的に人間の可能性をどのように増幅するのか研究している。

 
■アイビー・ロス(Ivy Ross)さん

2016年に正式に発足したグーグルのハードウェア部門でデザインを担当するバイス・プレジデント。2017年以来、ロスとそのチームはスマートフォンからスマートスピーカーに至るまで、消費者向けにさまざまなハードウェア製品を発表しており、デザインの分野で200以上の国際的な賞を受賞している。2019年には、『ファスト・カンパニー』誌の「ビジネスにおいて最もクリエイティブな100人」で9位に選ばれた。

 
■訳:須川綾子(すがわ・あやこ)さん

翻訳家。東京外国語大学英米語学科卒業。訳書に『習慣超大全――スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法』『人と企業はどこで間違えるのか?』(ともにダイヤモンド社)、『綻びゆくアメリカ』『退屈すれば脳はひらめく』(ともにNHK出版)、『子どもは40000回質問する』(光文社)、『戦略にこそ「戦略」が必要だ』(日本経済新聞出版社)などがある。

 

アート脳
スーザン・マグサメン (著), アイビー・ロス (著), 須川 綾子 (翻訳)

全米ベストセラー、日本上陸! 絵画に釘付けになったり、音楽に感動した りするだけで、健康で長生きする! 脳科学が初めて明かした「アートの効用」。

本書では、アートがいかにして私たちの生活の質を高め、より良いコミュニティを築いて いくのかについて、科学的根拠とともに示していく。日々のさまざまな美的経験によって、どのような生物学的変化が起きるのか、その仕組みについても説明する。たとえば、

・ニューヨーク州北部では、アルツハイマー病の症状が進んだ男性が昔よく聴いていた曲を 聴き、5年ぶりに息子を認識した。
・フィンランドでは、産後うつを患った若い母親が生まれたばかりのわが子に歌を歌い、抗 うつ剤だけに頼るより早く回復している。
・世界各地の医療現場では、美術館を訪れることが患者に処方されている。
・感覚的に豊かな環境では学習の効率が高まり、記憶の定着率が高いという近年の研究結果 から、多くの学校や職場、公共施設では環境が見直されている。
このようなかたちで、あらゆるアートには健康・ウェルビーイング・学習・繁栄を促進する効果がある旨も明らかにしながら、ビジネスパーソンのみならず子供から高齢者まで生活のなかにアートを取り入れる手法を順序立てて紹介する。

 


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