【第171回芥川賞&直木賞】芥川賞に朝比奈秋さん『サンショウウオの四十九日』と松永K三蔵さん『バリ山行』、直木賞は一穂ミチさん『ツミデミック』
第171回芥川龍之介賞および直木三十五賞の選考委員会が7月17日に東京都内で開催され、それぞれ受賞作が決定しました。
芥川賞は朝比奈秋さんと松永K三蔵さんが同時W受賞!
第171回芥川賞は、下記候補作の中か朝比奈秋さんの「サンショウウオの四十九日」(『新潮』5月号)と松永K三蔵さんの「バリ山行(さんこう)」(『群像』3月号)が受賞作に決定しました。
朝比奈秋(あさひな・あき)さんは、1981年生まれ、京都府出身。医師として勤務しながら小説を執筆し、2021年に「塩の道」で第7回林芙美子文学賞を受賞しデビュー。2023年『植物少女』で第36回三島由紀夫賞を受賞。同年『あなたの燃える左手で』で第51回泉鏡花文学賞と第45回野間文芸新人賞を受賞。なお、受賞作「サンショウウオの四十九日」は7月12日に書籍化され、新潮社より刊行。
松永K三蔵(まつなが・けー・さんぞう)さんは、1980年生まれ、茨城県出身。関西学院大学卒業。兵庫県西宮市在住。2021年「カメオ」で第64回群像新人文学賞優秀作を受賞しデビュー。なお、受賞作「バリ山行」は7月29日に書籍化され、講談社より刊行予定。
選考委員は、小川洋子さん、奥泉光さん、川上弘美さん、川上未映子さん、島田雅彦さん、平野啓一郎さん、松浦寿輝さん、山田詠美さん、吉田修一さん。
【芥川賞 候補作】
◎朝比奈秋さん「サンショウウオの四十九日」(『新潮』5月号)
◎尾崎世界観さん「転(てん)の声」(『文學界』6月号)
◎坂崎かおるさん「海岸通り」(『文學界』2月号)
◎向坂くじらさん「いなくなくならなくならないで」(『文藝』夏季号)
◎松永K三蔵さん「バリ山行(さんこう」(『群像』3月号)
直木賞は一穂ミチさんが3度目のノミネートで受賞!
第171回直木賞は、下記候補作の中から一穂ミチさんの『ツミデミック』(光文社)が受賞作に決定しました。
一穂ミチさんは、大阪市出身。2007年『雪よ林檎の香のごとく』でデビュー。ボーイズラブ小説を中心に作品を発表。2021年に刊行した初の単行本一般文芸作品『スモールワールズ』が2022年本屋大賞第3位、第43回吉川英治文学新人賞、2024年『光のとこにいてね』で第30回島清恋愛文学賞を受賞。
選考委員は、浅田次郎さん、角田光代さん、京極夏彦さん、桐野夏生さん、高村薫さん、林真理子さん、三浦しをんさん、宮部みゆきさん。
【直木賞 候補作】
◎青崎有吾さん『地雷グリコ』(KADOKAWA)
◎麻布競馬場さん『令和元年の人生ゲーム』(文藝春秋)
◎一穂ミチさん『ツミデミック』(光文社)
◎岩井圭也さん『われは熊楠(くまぐす)』(文藝春秋)
◎柚木麻子さん『あいにくあんたのためじゃない』(新潮社)
芥川賞と直木賞について
芥川賞と直木賞は、1935(昭和10)年に制定され、芥川賞は新聞・雑誌(同人雑誌を含む)に発表された純文学短編作品、直木賞は新聞・雑誌(同)・単行本として発表された短編および長編の大衆文芸作品の中から優れた作品に贈られます。
芥川賞は主に無名・新進作家が、直木賞は無名・新進・中堅作家が対象となります。受賞者には正賞として時計、副賞として賞金100万円が授与されます
サンショウウオの四十九日 朝比奈 秋 (著) 同じ身体を生きる姉妹、その驚きに満ちた普通の人生を描く、芥川賞受賞作。 |
バリ山行 松永K三蔵 (著) 古くなった建外装修繕を専門とする新田テック建装に、内装リフォーム会社から転職して2年。会社の付き合いを極力避けてきた波多は同僚に誘われるまま六甲山登山に参加する。その後、社内登山グループは正式な登山部となり、波多も親睦を図る目的の気楽な活動をするようになっていたが、職人気質で職場で変人扱いされ孤立しているベテラン社員妻鹿があえて登山路を外れる難易度の高い登山「バリ山行」をしていることを知ると……。 「山は遊びですよ。遊びで死んだら意味ないじゃないですか! 本物の危機は山じゃないですよ。街ですよ! 生活ですよ。妻鹿さんはそれから逃げてるだけじゃないですか!」(本文より抜粋) 会社も人生も山あり谷あり、バリの達人と危険な道行き。圧倒的生の実感を求め、山と人生を重ねて瞑走する純文山岳小説。 |
ツミデミック 一穂ミチ (著) 大学を中退し、夜の街で客引きのバイトをしている優斗。ある日、バイト中にはなしかけてきた大阪弁の女は、中学時代に死んだはずの同級生の名を名乗った。過去の記憶と目の前の女の話に戸惑う優斗はーー「違う羽の鳥」 調理師の職を失った恭一は家に籠もりがちで、働く妻の態度も心なしか冷たい。ある日、小一の息子・隼が遊びから帰ってくると、聖徳太子の描かれた旧一万円札を持っていた。近隣の一軒家に住む老人からもらったという。隼からそれを奪い、たばこを買うのに使ってしまった恭一は、翌日得意の澄まし汁を作って老人宅を訪れるがーー「特別縁故者」 先の見えない禍にのまれた人生は、思いもよらない場所に辿り着く。 稀代のストーリーテラーによる心揺さぶる全6話。 |
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▼直木三十五賞|公益財団法人日本文学振興会
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