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【第30回島清恋愛文学賞】上田岳弘さん『最愛の』と一穂ミチさん『光のとこにいてね』が受賞

金沢学院大学は、1年間に出版された作品の中から最高の恋愛小説を選ぶ第30回島清恋愛文学賞の受賞作品を発表しました。

 

第30回島清恋愛文学賞が決定!

島清恋愛文学賞は金沢学院大学が主催・運営する賞で、大学生が候補作の検討に携わる全国に例のない文学賞です。今年の選考委員は、村山由佳さん、桜木紫乃さん、島田雅彦さんの3名が務め、受賞作品が次の通り決定しました。

 
<第30回島清恋愛文学賞 受賞作品>

◎上田岳弘(うえだ・たかひろ)さん
『最愛の』(集英社)

◎一穂ミチ(いちほ・みち)さん
『光のとこにいてね』(文藝春秋)

 
受賞者の上田岳弘さんは、1979年生まれ、兵庫県出身。早稲田大学法学部卒業。2013年「太陽」で新潮新人賞を受賞しデビュー。2015年「私の恋人」で三島由紀夫賞、2018年2018年『塔と重力』で芸術選奨文部科学大臣新人賞/a>、2019年「ニムロッド」で芥川龍之介賞、2022年「旅のない」で川端康成文学賞を受賞。

同じく受賞者の一穂ミチさんは、大阪市出身。2007年『雪よ林檎の香のごとく』でデビュー。ボーイズラブ小説を中心に作品を発表。2021年に刊行した初の単行本一般文芸作品『スモールワールズ』が2022年本屋大賞第3位、吉川英治文学新人賞を受賞したほか、第165回直木賞候補になるなど話題に。今回の『光のとこにいてね』はこれまで「キノベス!2023」第2位、第168回直木賞候補、2023年本屋大賞第3位に選出。

 

島清恋愛文学賞

島清(しませ)恋愛文学賞は、金沢学院大学が主催・運営する、恋愛小説を対象とする文学賞です。

1994年に石川県美川町が町村合併40周年を記念して、創設。主催者・運営者は幾度か変更があり、現在は金沢学院大学が主催および運営を行っています。

直近の受賞者・受賞作は、吉田修一さん『ミス・サンシャイン』(第29回)、吉川トリコさん『余命一年、男をかう』(第28回)、山本文緒さん『自転しながら公転する』(第27回)、綿矢りささん『生のみ生のままで』(第26回)、三浦しをん『ののはな通信』(第25回)ほか。

 

最愛の
上田 岳弘 (著)

「約束して。私のことは跡形もなく忘れる、と。」

久島は、情報も欲望もそつなく処理する「血も涙もない的確な現代人」として日常を生きている。
だが、学生時代に手紙を交わしつづけた望未だけが、人生唯一の愛として、いまだ心を離れない。
望未は手紙の始まりで必ず「最愛の」と呼びかけながらも、常に「私のことは忘れて」と願い、何度も久島の前から姿を消そうとした。
今その願いを叶えるべく、久島は自分のためだけの文章を書き始める――。

愛する人が誰よりも遠い存在になったとき、あらたに言葉が生まれ、もうひとつの物語が始まる。
「永遠の恋人」を描いてきた著者が最高純度で贈る、超越的恋愛小説!

光のとこにいてね
一穂 ミチ (著)

第168回直木賞候補作&2023年本屋大賞第3位

刊行以来、続々重版。大反響、感動、感涙の声、続々!
令和で最も美しい、愛と運命の物語

素晴らしい。久しぶりに、ただ純粋に物語にのめりこむ愉悦を味わった。
さんざん引きずり回された心臓が、本を閉じてなお疼き続ける──そのまばゆい痛みの尊さよ。(村山由佳)

まぶたの裏で互いの残像と抱き合っていた二人のひたむきさが、私の胸に焼き付いて離れない(年森 瑛)

 
――ほんの数回会った彼女が、人生の全部だった――

古びた団地の片隅で、彼女と出会った。彼女と私は、なにもかもが違った。着るものも食べるものも住む世界も。でもなぜか、彼女が笑うと、私も笑顔になれた。彼女が泣くと、私も悲しくなった。
彼女に惹かれたその日から、残酷な現実も平気だと思えた。ずっと一緒にはいられないと分かっていながら、一瞬の幸せが、永遠となることを祈った。
どうして彼女しかダメなんだろう。どうして彼女とじゃないと、私は幸せじゃないんだろう……。

――二人が出会った、たった一つの運命
切なくも美しい、四半世紀の物語――

 
【関連】
島清恋愛文学賞 – 金沢学院大学

 


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