木爾チレンさん『みんな蛍を殺したかった』が本文改稿、あとがきを加筆し文庫化 文庫解説はけんごさん
木爾チレンさんによる、少女たちの心の中に巣くう澱みを鮮烈な感性で抉り出した話題作『みんな蛍を殺したかった』が文庫化され、二見文庫より刊行されました。なお、文庫化にともない、本文を改稿し、あとがきを加筆しています。装画は紺野真弓さんが担当。
みんな誰かを殺したいほど羨ましい――。
本書は、少女の心を繊細に描く名手による初のミステリ作品です。文庫解説は小説紹介クリエイターけんごさんが寄稿。
【あらすじ】
美しい少女・蛍が線路に身を投じる。儚く散った彼女の死は後悔と悲劇を生み出していく――
京都の底辺高校と呼ばれる女子校に通うオタク女子三人、校内でもスクールカースト底辺の扱いを受けてきた。そんなある日、東京から息を呑むほど美しい少女・蛍が転校してきた。
生物部とは名ばかりのオタク部に三人は集まり、それぞれの趣味に没頭していると、蛍が入部希望と現れ「私もね、オタクなの」と告白する。
次第に友人として絆を深める四人だったが、ある日、蛍が線路に飛び込んで死んでしまう。
真相がわからぬまま、やがて年月が経ち、蛍が遺した悲劇の歪みが残された者たちを絡めとっていく――。
『みんな蛍を殺したかった』発売日まであと二日
解説は、けんご(@kengo_book )です。この本をきっかけに、私たちは夫婦になりましたが、そのような未来にならずとも、蛍の解説だけは彼にお願いしようと決めていました。素晴らしい、愛の籠った解説をありがとうございました。 pic.twitter.com/VX3pvmHWIC— 木爾チレン (@1000ve) June 18, 2024
著者プロフィール
■木爾チレン(きな・ちれん)さん
1987年生まれ、京都府出身。大学在学中に応募した短編小説「溶けたらしぼんだ。」で新潮社「第9回女による女のためのR-18文学賞」優秀賞を受賞。2012年、美しい少女の失恋と成長を描いた『静電気と、未夜子の無意識。』(幻冬舎)でデビュー。その後、少女の心の機微を大切に、多岐にわたるジャンルで執筆し、作品表現の幅を広げる。
他の著書に、引きこもりの少女の部屋と京都が舞台の恋愛ミステリ『これは花子による花子の為の花物語』、切なく温かい青春ミステリー『そして花子は過去になる』(ともに宝島社)、黒歴史と少女の淀みを描いたミステリ『みんな蛍を殺したかった』、辛い現実を生きられなかった少女たちが誰にも言えない恋に縋ったゆえの禁断の黒歴史ミステリ『私はだんだん氷になった』(ともに二見書房)などがある。
■作品解説:けんごさん
小説紹介動画はバズることも多く、その多くがヒット作品となる。ピュアな物語から純文学まで、好みのストライクゾーンは広い。強いてあげるのであれば、ホラーや物騒な作品をよく読むという。伴侶は木爾チレンさん。
■装画:紺野真弓(こんの・まゆみ)さん
1987年生まれ、宮城県出身。画家。2014年より独学でアクリル画をはじめ、2015年から作家活動を開始する。
イラスト的な女性像を主なモチーフとして、デジタルイラストに使われるレイヤー効果のような表現をアクリル画に取り入れるなど、人工的で多層的なイメージを描く。個展等で作品を発表するほか、装画や楽曲のアートワークなども手掛けている。
![]() | みんな蛍を殺したかった (二見文庫) 木爾チレン (著), けんご (解説), 紺野 真弓 (イラスト) |
【関連】
▼新刊と新婚の話――あるいは才能と嫉妬の話|木爾チレン
◆ブレイディみかこさん初の長編小説『両手にトカレフ』が文庫化 | 本のページ
◆逸木裕さん〈精緻でビター〉な連作ミステリ『彼女が探偵でなければ』が刊行 | 本のページ
◆仁志耕一郎さん〈歌舞伎役者の”とんでもない人生”〉の物語『花と茨 七代目市川團十郎』が刊行 | 本のページ
◆高山環さん「第12回ポプラ社小説新人賞」奨励賞受賞作『夏のピルグリム』が刊行 | 本のページ