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京極夏彦さん妖怪時代小説の金字塔〈巷説百物語〉シリーズ完結巻『了巷説百物語』が刊行

妖怪時代小説の金字塔として人気を博す〈巷説百物語〉シリーズの完結編、京極夏彦さん著『了巷説百物語(おわりのこうせつひゃくものがたり)』がKADOKAWAより刊行されました。

 

〈巷説百物語〉シリーズとは

〈巷説百物語〉シリーズは、2024年に小説家デビュー30周年を迎える京極夏彦さんを代表するシリーズの一つ。法では裁けぬ悪を倒す痛快な時代小説であり、数々の妖怪を題材にとった「仕掛け」が読者を驚かせる珠玉のミステリー小説です。

 
『後巷説百物語(のちのこうせつひゃくものがたり)』で第130回直木賞、『西巷説百物語(にしのこうせつひゃくものがたり)』で第24回柴田錬三郎賞、『遠巷説百物語(とおくのこうせつひゃくものがたり)』で第56回吉川英治文学賞を受賞し、シリーズ作品としては前代未聞の文学賞三冠の快挙を成し遂げました。さらに、ドラマ化やアニメ化、コミカライズといったメディアミックスでも大きな話題を呼びました。

 
最新作『了巷説百物語』では、シリーズに登場した化け物遣いたちが、最大にして最後の大仕事に挑みます。人の嘘を見破る稲荷藤兵衛が、老中首座・水野忠邦に関連したある依頼を引き受けたことで思いもよらぬ事態に遭遇。やがて京極堂(中禅寺秋彦)の曾祖父・中禪寺洲齋と出会い、中禪寺はとある商家の憑き物を落とすことになります。昨年、17年ぶりに刊行され大きな話題を呼んだ<百鬼夜行>シリーズの長篇『鵼の碑(ぬえのいしぶみ)』と対となる物語となっています。

1997年の連載開始から27年、本書をもって〈巷説百物語〉シリーズがついに大団円を迎えます。

 
なお、本書の表紙は桃山人(とうさんじん)による奇談集『繪本百物語』(江戸時代後期刊行)に掲載された竹原春泉筆による妖怪画の中から、本作に登場する妖怪「於菊蟲(おきくむし)」「手洗鬼(てあらいおに)」「葛乃葉(くずのは)」「野宿火(のじゅくび)」をあしらったカバーとなっています。

 

最新小説『了巷説百物語』について

 
【あらすじ】

<憑き物落とし>中禪寺洲齋。
<化け物遣い>御行の又市。
<洞観屋>稲荷藤兵衛。

彼らが対峙し絡み合う、過去最大の大仕掛けの結末は――?
文学賞3冠を果たした<巷説百物語>シリーズ堂々完結!

下総国に暮らす狐狩りの名人・稲荷藤兵衛には、裏の渡世がある。凡ての嘘を見破り旧悪醜聞を暴き出すことから<洞観屋(どうかんや)>と呼ばれていた。ある日、藤兵衛に依頼が持ち込まれる。老中首座・水野忠邦による大改革を妨害する者ども炙り出してくれというのだ。敵は、妖物を操り衆生を惑わし、人心を恣(ほしいまま)にする者たち――。依頼を引き受け江戸に出た藤兵衛は、化け物遣い一味と遭遇する。やがて武蔵晴明神社の陰陽師・中禪寺洲齋と出会い、とある商家の憑き物落としに立ち会うこととなるが――。

 
《目次》

戌亥乃章 於菊蟲

申酉乃章 柳婆

午未乃章 累

辰巳乃章 葛乃葉 或は福神ながし

寅卯乃章 手洗鬼

子丑乃章 野宿火

空亡乃章 百物語

 

著者プロフィール

京極夏彦(きょうごく・なつひこ)さんは、1963年生まれ、北海道出身。小説家・意匠家。1994年『姑獲鳥の夏』でデビュー。

1996年『魍魎の匣』で第49回日本推理作家協会賞長編部門賞、1997年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花賞、2003年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、2004年『後巷説百物語』で第130回直木賞、2011年『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞、2022年『遠巷説百物語』で第56回吉川英治文学賞を受賞。

他著に『虚実妖怪百物語 序/破/急』『虚談』『いるの いないの』『ルー=ガルー 忌避すべき狼』『厭な小説』『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『今昔百鬼拾遺 月』『書楼弔堂 待宵』『鵼 の碑』など多数。

★公式HP「大極宮」:https://www.osawa-office.co.jp/

 

了巷説百物語
京極 夏彦 (著)

化けの皮、見切った――。文学賞3冠の〈巷説百物語〉シリーズ堂々完結!

装丁:片岡忠彦(ニジソラ)
初出:「怪と幽」vol.007(2021年4月刊)~vol.015(2023年12月刊)
※「子丑乃章 野宿火」「空亡乃章 百物語」の2篇は書き下ろし

 


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