【第22回前川佐美雄賞・第32回ながらみ書房出版賞】前川佐美雄賞は川野里子さん『ウォーターリリー』が受賞 ながらみ書房出版賞に鈴木英子さん『喉元を』
ながらみ書房は、第22回前川佐美雄賞および第32回ながらみ書房出版賞の受賞作品を発表しました。
第22回前川佐美雄賞・第32回ながらみ書房出版賞が決定!
第22回前川佐美雄賞および第32回ながらみ書房出版賞の受賞作品は次の通りです。なお、選考会や受賞作の詳細は『短歌往来』六月号(2024年5月中旬発行)に掲載されます。
【第22回前川佐美雄賞】
川野里子(かわの・さとこ)さん
歌集『ウォーターリリー』(短歌研究社)
川野里子さんは、1959年生まれ、大分県出身。京都女子大学短期大学部卒業、千葉大学大学院文学研究科修士課程修了、東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。2003年『太陽の壷』で第13回河野愛子賞、2009年『幻想の重量 葛原妙子の戦後短歌』で第6回葛原妙子賞、2010年『王者の道』で第15回若山牧水賞、2018年『硝子の島』で第10回小野市詩歌文学賞、2019年「Place to be」で第55回短歌研究賞、2020年『歓待』で第71回読売文学賞を受賞。歌誌「かりん」編集委員。2008、2009、2023年度「NHK短歌」(Eテレ)選者。
【第32回ながらみ書房出版賞】
鈴木英子(すずき・ひでこ)さん
歌集『喉元を』(ながらみ書房)
鈴木英子さんは、1962年生まれ、東京都出身。國學院高等学校在学中より新井貞子さんに師事。1984年、國學院大學文学部卒業。同年、新井貞子さん主宰の歌誌「こえ」に参加。2006年『油月』(『鈴木英子集』所収)で第2回日本詩歌句大賞短歌部門を受賞。現在、「こえ」代表。
前川佐美雄賞・ながらみ書房出版賞について
前川佐美雄賞は、その年に刊行されたスリリングで優れた歌集・歌書を主な対象とした文学賞です。受賞者には賞金50万円を贈呈。
ながらみ書房出版賞は、その年にながらみ書房より刊行された歌集・歌書を対象とし、受賞者には賞金20万円が贈られます。
両賞ともながらみ書房が主催。選考委員は、井坂洋子さん、島田修三さん、本田一弘さん、松村由利子さん。
![]() | ウォーターリリー 川野里子 (著) ここに生まれて ここがどこだか まだわからない 耳を澄ますと 遠く聞こえてくる声 わたしはひとつの声であり、また多声である 過去を、未来を、今を、短歌は不安な世界をどう聞き取るのか。 『歓待』から四年、あらたな方法を携え挑戦する一冊。 【歌集より】 あの川に兄が浮かんでこの沼に父が浮かんで 睡蓮咲いた ウォーターリリーこんなしづかな戦場がここにウォーターリリーの姿に咲いて 生きるとはこのやうにリボンつけることリボンのうれしさ焼け残る服 わたくしは牝鹿に還り舐めにゆくウラニウムなほも鎮まらぬ火を 睡蓮の気持ちは人類誕生以前から変はらないまま 会へない人よ 装幀・挿画=毛利一枝 |
![]() | 喉元を 鈴木英子 (著) 月島、勝どき橋、佃、晴海。そこは東京の異界、作者の産土の地。現実をそのままに受容し、あらんかぎりの思いをこめて、娘に、母に、すべての日常の中ですれ違ってきた人々に。あかあかと血の夕映えを吐き続ける。心が震える。歌が顫える。 |
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