中原中也賞受賞詩人・大崎清夏さん〈丸ごと一冊日記の本〉『私運転日記』が刊行

詩人・大崎清夏さんによる初めての”丸ごと一冊日記”の本『私運転日記』がtwililightより刊行されました。2023年の日々を綴っています。
『私運転日記』概要
“出会っても出会っても、歳をとればとるほど、自分のことをどこから話せばいいかわからない感じになっていくのだろう。だから深い関係がほしいのかもしれない。だから日記なんか書くのかもしれない”
「ほんとうにひとりのひとり暮らし」を機に、日記をつけ始めた詩人。
島での免許合宿、ソロハイク、初めてのドライブ……
40代の広すぎる道を、確認しながら自分で運転してゆく日々が始まった。
“たぶん私はいま、自分の外に出ていきたいのだろう。
風で道の脇に落ちた、小枝のようなものになりたいのだろう。
そういう私自身を、じっくり引き受けてやりたいと思う”
“忘れたくないことも、忘れがたいことも、早く忘れたいことも、日記に書いてしまえば、安心して忘れられる。すべて忘れても何ひとつ忘れることなんてないことを、日記を書くことは慰めてくれる”
〔目次〕
ある冬
春と夏
合宿
立秋まで
ソロハイク
運転しない日々
珠洲へ
奥会津へ
南伊豆へ
エッセイスト・古賀及子さん 推薦文
愛のこと、身体のこと、言葉のこと、感覚のこと、文学としての日記のこと。意識の下にもぐる思考がここではひらめくように冴えわたって、澄んで光って自由な踊りみたいに伝わる。
日記だからこそ、日々表出する生活のなかの逡巡がてらいなく描かれる。その場の瞬間の気分と気持ちもないがしろにせず大切に携えて、でもずっと、生きることそのものを考えている。染み渡ってつながるさみしさがなんでかすこしあたたかい。
言葉の上達を畏れて包まないまま投げ捨てたいと書かれた願いとはうらはらの受け取りかもしれない。でも、私はありがとうって思います。
――古賀及子
著者プロフィール
大崎清夏(おおさき・さやか)さんは、1982年生まれ、神奈川県出身。2011年「ユリイカの新人」に選ばれ、2014年、詩集『指差すことができない』で第19回中原中也賞を受賞。『踊る自由』で第29回萩原朔太郎賞最終候補。著書に『目をあけてごらん、離陸するから』(リトルモア)、『新しい住みか』(青土社)、『地面』(アナグマ社)などがある。
2022年、奥能登国際芸術祭の一環として脚本を手がけた朗読劇「珠洲の夜の夢」がスズ・シアター・ミュージアムにて上演され、翌23年には同じく「うつつ・ふる・すず」の脚本も 手がけた。音楽家や美術家など、他ジャンルのアーティストとのコラボレーションも多く、絵本の文や楽曲歌詞、ギャラリー等での詩の展示など、さまざまなかたちで活動を行う。2019年、第50回ロッテルダム国際詩祭招聘。知らない町を歩くことと、山小屋に泊まる登山が好き。
| 私運転日記 大崎清夏 (著) 装画・挿画:nakaban |
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