【第39回坪田譲治文学賞】宮島未奈さん『成瀬は天下を取りにいく』が受賞
岡山市は、大人も子どもも共有できる世界を描いた優れた作品に贈る「第39回坪田譲治文学賞」の受賞作を発表しました。
第39回坪田譲治文学賞が決定!
第39回坪田譲治文学賞は、2022年9月1日から2023年8月31日までの1年間に全国で刊行された小説・児童文学等の中から、小説家・児童文学者等から推薦された100作品について、「大人も子どもも共有できる世界を描いたすぐれた作品」という観点で、予備選考会を経て候補作6作品を選定。この6作品について最終選考委員会で審査し、次の通り受賞作が決定しました。
<第39回坪田譲治文学賞 受賞作品>
宮島未奈(みやじま・みな)さん
『成瀬は天下を取りにいく』(新潮社)
受賞者の宮島未奈さんは、1983年生まれ、静岡県富士市出身。滋賀県大津市在住。京都大学文学部卒業。2018年「二位の君」で第196回コバルト短編小説新人賞を受賞(「宮島ムー」名義)。2021年「ありがとう西武大津店」で第20回「女による女のためのR-18文学賞」大賞、読者賞、友近賞をトリプル受賞し、同作を含む『成瀬は天下を取りにいく』でデビュー。
受賞作の『成瀬は天下を取りにいく』は、滋賀県大津市に住む中学二年生・成瀬あかりが主人公。コロナ禍真っ只中の2020年の夏休み、地元の「西武大津百貨店」が閉店すると聞き、「この夏を西武に捧げようと思う」と宣言して毎日通い始める――そんな我が道をまっすぐにいく成瀬あかりの姿が、読者の方々から熱烈な支持を集め、デビュー作にして異例の14万部突破を果たしました。また、「静岡書店大賞」や「中高生におすすめする司書のイチオシ本2023年版」など、数々のアワードにも恵まれました。このたびの「坪田譲治文学賞」を合わせると、なんと10冠という大ヒット作になりました。
なお、続編である『成瀬は信じた道をいく』も1月24日から発売中。高校生から大学生にかけて、少し大人びた成瀬が描かれています。
選考委員は、阿川佐和子さん、五木寛之さん、川村湊さん、中脇初枝さん、西本鶏介さん、森詠さん、森絵都さんの7名。贈呈式は2月23日に岡山芸術創造劇場ハレノワ(岡山市北区表町)で開催されます。
宮島未奈さんからのコメント
『成瀬は天下を取りにいく』の第一話「ありがとう西武大津店」は、2020年に閉店した実在のデパート、西武大津店が舞台です。滋賀県大津市に住むわたしたちにとって、慣れ親しんだ百貨店を喪った悲しみは計り知れません。
当時、新人賞を目指して小説を書いていたわたしは、このことを物語として遺せないかと考えました。そこで生まれたのが滋賀県大津市に生きる女子中学生、成瀬あかりです。
44年で幕を閉じた西武大津店ですが、成瀬あかりは200歳まで生きると豪語しています。『成瀬は天下を取りにいく』も、たくさんの人に永く読み継がれますように。
坪田譲治文学賞について
坪田譲治文学賞は、「岡山市出身で、わが国の児童文学に新しい分野を拓いた、岡山市名誉市民の故坪田譲治さんのすぐれた業績を称えると共に、市民の創作活動を奨励し、市民文化の向上に資することを目的」として、1984年(昭和59年)に岡山市が制定した文学賞です。
9月1日を基準日とし、前一年間に刊行された文学作品の中から、「大人も子どもも共有できる世界を描いたすぐれた作品」を対象とします。
受賞者には、正賞として賞状及び楯(蛭田二郎さん作「鳥の少年」)、副賞として100万円が授与されます。
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【続編】
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