【第11回河合隼雄物語賞・学芸賞】物語賞は吉原真里さん『親愛なるレニー』、学芸賞は國分功一郎さん『スピノザ』が受賞
河合隼雄財団は6月6日、第11回河合隼雄物語賞および第11回河合隼雄学芸賞の受賞作品を発表しました。
第11回河合隼雄物語賞・学芸賞が決定!
第11回河合隼雄物語賞および第11回河合隼雄学芸賞の受賞作品は次の通りです。
<第11回河合隼雄物語賞>
吉原真里(よしはら・まり)さん
『親愛なるレニー レナード・バーンスタインと戦後日本の物語』(アルテスパブリッシング)
<第11回河合隼雄学芸賞>
國分功一郎(こくぶん・こういちろう)さん
『スピノザ ――読む人の肖像』(岩波書店)
物語賞を受賞した吉原真里さんは、1968年ニューヨーク生まれ、東京都大田区育ち。東京大学教養学部卒業、米国ブラウン大学博士号取得。ハワイ大学アメリカ研究学部教授。専門はアメリカ文化史、アメリカ=アジア関係史、ジェンダー研究など。
著書に『アメリカの大学院で成功する方法』『ドット・コム・ラヴァーズ──ネットで出会うアメリカの女と男』『性愛英語の基礎知識』『ヴァン・クライバーン国際ピアノ・ コンクール』『「アジア人」はいかにしてクラシック音楽家になったのか?』、共編著に『現代アメリカのキーワード』、共著に『私たちが声を上げるとき──アメリカを変えた10の問い』、そのほか英文著書多数。
学芸賞を受賞した國分功一郎さんは、1974年生まれ。千葉県出身。早稲田大学政治経済学部卒業。1997年、東京大学大学院総合文化研究科の修士課程入学。2006年、同博士課程を単位取得退学。博士(学術)。専攻は哲学。
東大大学院に籍を置く間、ストラスブール大学哲学科、パリ第10大学哲学科、社会科学高等研究院科学科(フランス)に留学している。2009年博士論文「スピノザの方法」で学位を得る。高崎経済大学経済学部講師、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授を経て、現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。
『暇と退屈の倫理学』で第2回紀伊國屋じんぶん大賞、『中動態の世界――意志と責任の考古学』で第16回小林秀雄賞と第8回紀伊國屋じんぶん大賞を受賞。
他の著書に『スピノザの方法』『ドゥルーズの哲学原理』『来るべき民主主義――小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題』『哲学の先生と人生の話をしよう』『近代政治哲学――自然・主権・行政』『民主主義を直感するために』『スピノザ「エチカ」 2018年12月(100分 de 名著)』『原子力時代における哲学』『はじめてのスピノザ 自由へのエチカ』など。
なお、吉原真里さんと國分功一郎さんには記念品および副賞100万円が贈られます。
※授賞理由や受賞の言葉など詳細は、
物語賞:https://www.kawaihayao.jp/ja/prize/3255.html
学芸賞:https://www.kawaihayao.jp/ja/prize/3258.html
をご覧ください。
また、正式な受賞の言葉や選評は『新潮』8月号(7月7日発売)誌上で発表されます。
河合隼雄物語賞・学芸賞について
河合隼雄さんは、臨床心理学者で、京都大学名誉教授、文化庁長官などを歴任。臨床心理学にとどまらず、日本文学をはじめ、児童文学、絵本、神話、昔話などの研究に取り組みました。
河合隼雄物語賞および河合隼雄学芸賞は、その河合隼雄さんの遺志を受け継ぎ、現代社会を生きる人びとのこころを豊かにし、日本文化の発展に寄与することを目的として設立された河合隼雄財団が主催。
物語賞は、人のこころを支えるような物語をつくり出した優れた文芸作品に与えられる賞で、児童文学もその対象としています。
選考委員は、岩宮恵子さん、小川洋子さん、後藤正治さん。
学芸賞は、優れた学術的成果と独創をもとに、様々な世界の深層を物語性豊かに明らかにした著作に与えられる賞です。
選考委員は、内田由紀子さん、中沢新一さん、山極壽一さん、若松英輔さん。
両賞とも、選考は1年ごとに行われ、毎年3月からさかのぼって2年の期間内に発表・発行された作品を選考対象とします。
親愛なるレニー: レナード・バーンスタインと戦後日本の物語 吉原 真里 (著) 図書館に人知れず眠っていたふたりの日本人からの手紙がいま、語りはじめる。 “……でもレニー、僕はあなたを愛してしまったし、忘れることはできないのです。 ワシントンの図書館で著者が出逢った数百通の手紙。 カズコ──日本でおそらく最初の、そしてもっとも熱心なファン。 マエストロとふたりの日本人とが紡いだ愛の物語を軸に、冷戦期アメリカの文化戦略、高度成長期日本に花開く音楽文化が描かれる。 レナード・バーンスタイン(1918-1990)は、ニューヨーク・フィル、ウィーン・フィルなどのタクトをとった指揮者として、《ウェスト・サイド・ストーリー》《キャンディード》など不滅の名作の数々を生みだした作曲家として、米ソ冷戦期に反核や平和運動に精力的にとりくんだ行動する音楽家として、20世紀を代表する芸術家の筆頭にあげられる巨匠。 スティーヴン・スピルバーグがリメイクし大ヒットしたミュージカル映画『ウェスト・サイド・ストーリー』(2021)やNetflixが制作し、スピルバーグ、マーティン・スコセッシらが名を連ねる伝記映画『マエストロ』(2023年春公開予定)などで、いまなお世界中から注目を集めている。 著者は『ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール──市民が育む芸術イヴェント』(2010)、『「アジア人」はいかにしてクラシック音楽家になったのか?──人種・ジェンダー・文化資本』(2013)、『私たちが声を上げるとき──アメリカを変えた10の問い』(共著、2022)など、アメリカ文化史、ジェンダー研究などの分野で活躍する気鋭の研究者、吉原真里。 |
スピノザ――読む人の肖像 (岩波新書 新赤版) 國分 功一郎 (著) 哲学者とはいかなる人物なのか。何を、どのように、考えているのか。思考を極限まで厳密に突き詰めたがゆえに実践的であるという、驚くべき哲学プログラムを作り上げたスピノザ。本書は、難解とされるその全体像を徹底的に読み解くことで、かつてない哲学者像を描き出す。哲学の新たな地平への誘いがここに! |
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