八槻綾介さん「第11回ポプラズッコケ文学新人賞」大賞受賞作『ややの一本 剣道まっしぐら!』が刊行
ポプラ社は、「第11回ポプラズッコケ文学新人賞」大賞受賞作を書籍化した、八槻綾介さん著『ややの一本 剣道まっしぐら!』(絵:野間与太郎さん)を刊行しました。
選考委員満場一致で受賞! 亡き師の教えを胸に、剣道部創設に向け奮闘する6人の中学生たちの青春ストーリー
新潟県在住・八槻綾介さんのデビュー作『ややの一本 剣道まっしぐら!』は、武道としての「正しく強い」剣道と、「勝利至上主義」な剣道の対立を背景に、自分たちの考える「正しさ」を貫こうと奮闘する、6人の中学生たちの物語です。
「正しさ」「強さ」「チームワーク」の真の意味に、剣道部創設や大会出場を目指す中で、全力でぶつかっていきます。
【あらすじ】
中学1年生の春、今は亡き師匠の教え・「正しく強い」剣道を目ざして、國竹ややのたたかいがはじまった。5人の仲間を巻きこんで…!
國竹ややは、いたずら好きで剣道を愛する中学一年生。 通い始めた中学には剣道部はなく、長年通っていた道場もなくなってしまい、ぱっとしない日々を送っていた。しかしある時、膨れ上がる剣道への思いがついにあふれ出し、亡き師匠の教え・「正しく強い」剣道を貫くべく、自ら剣道部を立ち上げることを決意する。
さっそく、かつての仲間をさそうややだったが、みなはそれぞれに問題を抱えていた。
勉強に必死な理衣、人間関係に悩む姫奈、家庭の事情を抱えるなつ。さらに、中学校で知り合ったリョウも、心と体の悩みを持っており、なかなか心を開いてくれない。そしてかつての親友、一香はライバル校に転校してしまっていた……。
仲間集め、顧問さがし、稽古場の確保と、次々にふりかかる難問に、ややは持ち前の行動力と信念でまっしぐらに立ちむかい、最大の目標・秋の新人戦地区大会での優勝を目指して突き進んでいく。
「一番応援をしたくなる主人公」と審査員一同の総意で大賞に選ばれた、主人公・ややの誰もまねできないような行動力と個性が最大の魅力の本書は、無鉄砲ながら仲間想いな“やや”の姿が生き生きと描かれ、一気に読ませる力を持った作品です。
ややに巻き込まれていく5人の仲間たちも、個性豊か。それぞれに葛藤や悩みを抱えており、その心情が各章の一人称語りで丁寧に描かれており、読者に多くの共感を与えることでしょう。
著者メッセージ
この瞬間までに出会ったすべての人に、感謝を申し上げます。
昨年の春、大賞を受賞した際のコメントはこの言葉で締めくくりました。約一年の準備を経て、いよいよ刊行が近づいた今、その気持ちは更に強いものとなっています。
物語を紡ぐのは私の一人仕事。
ですが、その材料となるものをくれたのは、これまで出会った人たち。そして『本』という形になるまでにも、ほんとうに多くの人のお力を借りました。
本書はまさにそんな『チームワーク』の溢れた作品です。
「『チームワーク』とは何か」
それは、ひとりで突っ走ってしまいがちな主人公のややに、師が投げかけた問いでした。
ややは、その問いの答えを探す中で、自分の知らないところで多くの人に支えられていたことに気づいていくように思います。
本書のモチーフとなっている、『正しく強い剣道』。
強いだけではなく、正しくあることの意味が、ここにあります。
けれど、本書は決して教訓めいた堅苦しい内容の本ではありません。
子ども心をまだ忘れていない(はず)の私自身が、楽しいと思える物語を紡ぎました。ですので、この本を手に取って読んでくださった誰かが、一緒に『まっしぐら!』になってくれたら嬉しいです。
(八槻綾介)
著者プロフィール
■作:八槻綾介(やつき・りょうすけ)さん
新潟県在住。『ややの一本 剣道まっしぐら!』で第11回ポプラズッコケ文学新人賞大賞を受賞しデビュー。子どものころ「ズッコケファンクラブ会員」として活動。
ただの変わった人で終わりたくなくて、小説家を目指す。
剣道経験者。好きな剣道の技は、出ばな小手。
■絵:野間与太郎(のま・よたろう)さん
岡山県出身。児童書の挿絵、学習まんが、広告まんがなどを手がける。
主な作品に『学習まんが日本の伝記SENGOKU 明智光秀』(集英社)、「お江戸豆吉」シリーズ(フレーベル館)、『幕末明治サバイバル! 小説・渋沢栄一』『魔法空艇の案内係』(以上、KADOKAWA)など。
「文学新人賞を受賞、その後どうなる?」著者インタビュー公開中
本作で児童書作家としてデビューした八槻綾介さん。
大賞受賞が決まってから刊行まで、実際にどのようなやりとりを重ねたのか、想像と違っていたことはあるか、その時々での気づき・思いなどを、たっぷりお話されています。記事は、「ポプラ社こどもの本編集部note」にて公開中です。
★URL:https://note.com/poplar_jidousho/n/nf4011f3c2a9e
ズッコケ文学新人賞について
子どもが自分で考え、動き、成長する物語。子どもたちが自分で選び、本当に読みたいと思える物語。そんな作品を子どもたちに届けられる新たな書き手に出会えるよう、2011年にスタート。子どものための文学の未来を担う、才能ある新人がはばたく窓口として開催を重ねています。
<第11回の選考について>
一般応募、ウェブ応募と合わせて総数193編の応募の中から7作品が二次選考へ進み、9名の選考委員が選考にあたりました。議論を重ねた結果、最終選考に5作品を選出しました。
2021年7月、これまで本賞で特別審査委員を務められた那須正幹さんが肺気腫のためご逝去されました。「子どものための文学の未来を担う、才能ある新人がはばたく窓口になる賞を」──那須さんのその遺志を継ぎ、今回は『ズッコケ三人組の大研究』『同II』『同ファイナル』の編者である児童文学研究者の宮川健郎さんに特別審査委員として加わってもらい、ポプラ社編集部員と合わせて13名の選考委員で、作品についてさまざまな意見を交わしました。 その結果、一気に読ませる高い筆力で主人公たちの姿を生き生きと描き出した八槻綾介さんの『ややの一本! 剣道まっしぐら』が大賞に選出。最終選考会のもようは「ポプラ社こどもの本編集部note」で公開中です。
★URL:https://note.com/poplar_jidousho/n/nf8eab9d4c39b
【第12回の発表は2023年6月末予定!】
第12回ポプラズッコケ文学新人賞は、2023年10月~11月末にかけ募集されました。今回も多くの方から応募があり、現在、編集部にて選考中です。発表は2023年6月末の予定です。
ややの一本 剣道まっしぐら! (ノベルズ・エクスプレス 54) 八槻 綾介 (著), 野間 与太郎 (イラスト) 第11回ポプラズッコケ文学新人賞 大賞受賞作! 「正しくあるのは難しい。だから仲間が必要なんだ」 |
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▼第11回ポプラズッコケ文学新人賞最終選考会に参加して──宮川健郎【児童書作家デビューへの扉#07】|ポプラ社 こどもの本編集部
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