【第54回新潮新人賞】黒川卓希さん「世界地図、傾く」が受賞
新潮社は、純文学を対象とする公募の新人文学賞「第54回新潮新人賞」の受賞作を発表しました。
第54回新潮新人賞が決定!
第54回新潮新人賞の受賞作が、次の通り決定しました。
<第54回新潮新人賞 受賞作品>
黒川卓希(くろかわ・たかき)さん
「世界地図、傾く」(「gurgle」を改題)
受賞者の黒川卓希さんは、1996年生まれ、兵庫県出身。東京工業大学理学院数学系中退。横浜市立大学医学部在学中。神奈川県在住。

(c)新潮社写真部
選考委員は、大澤信亮さん、小山田浩子さん、鴻巣友季子さん、田中慎弥さん、又吉直樹さん。受賞作品、各選考委員の選評については、10月7日発売の『新潮』11月号に掲載されます。
【選評より(抜粋)】
◎又吉直樹さん
「全体を通して逸話の一つ一つに読み応えがあり、言葉遊びのように短文を連ねる箇所も単純な穴埋めに終わらず、物語と繋がりを持たせながらイメージを拡げていく言葉が選択されていた。限定された世界の中で現実の価値基準を揺るがせようとする試みにも惹かれた。」
◎大澤信亮さん
「×をつけようと思ったが、できなかった。才能があるからだ。荒唐無稽(とも一概に言えないが)な未来世界や作中人物たちを、まるで目の前に存在するように堂々と語りきってしまえる作者のふてぶてしさは、いいと思った」
なお、候補作品は、以下の5作品でした。
【候補作品】
◎野田ゆり子さん「善人」
◎黒川卓希さん 「世界地図、傾く」 ※「gurgle」を改題
◎比留川愛梨さん「半夏生」
◎辻峰子さん 「マゼンタロープ」
◎下坂裕美さん 「わたしたちは遠浅で」
受賞作「世界地図、傾く」概要
舞台は2052年の日本。春になれば「パンまつり」が開催されるのは2022年の現在と変わりないが、30年後の日本は事実上の移民国家となり、国際的な価値観と国粋的な価値観が分裂しながら混在している。学校は英語を公用語とする「インター」と日本語を用いる「ナショ」に分かれ、国籍雇用均等法が施行されようとしている。語り手はふたり。言葉と味覚の共感覚を持ち、女装家と同棲していた青年アキト。「日本語は淘汰される」という価値観の親に育てられた韓日ハーフのアセクシャル的な女性ユイ。そして、多言語多民族国家を象徴するかのような政治活動家キヌアのトリックスター的暗躍と悲劇が物語をドライブさせる――なんとも大胆で無謀なデビュー作が誕生!
★受賞作品の試し読み:https://www.shinchosha.co.jp/shincho/tachiyomi/20221007_1.html
新潮新人賞について
新潮新人賞は、純文学を対象とする公募の新人文学賞です。新潮社が主催。毎年3月31日を締め切り日とし、受賞作はその年の『新潮』11月号に掲載されます。
また、受賞者には正賞として特製記念ブロンズ楯が、副賞として50万円が贈られます。
新潮2022年11月号
◆第54回 新潮新人賞発表 (受賞者インタビュー) (選評)大澤信亮 小山田浩子 鴻巣友季子 田中慎弥 又吉直樹 |
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