ドラマ化!日本を代表する歌人夫婦の命がけの愛を描いた、永田和宏さん『あの胸が岬のように遠かった――河野裕子との青春』が刊行

永田和宏さん著『あの胸が岬のように遠かった――河野裕子との青春』
歌人・永田和宏さん著『あの胸が岬のように遠かった――河野裕子との青春』が新潮社より刊行されました。
連載時から反響の多かった本書は、書籍化と同時にドラマ化企画が進行しました。同名ドキュメンタリードラマ「あの胸が岬のように遠かった~河野裕子と生きた青春」では、柄本佑さん(永田和宏さん役)、藤野涼子さん(河野裕子さん役)が主演。初回放送はNHK 4K、3月30日(水)午前3:30~4:59〈29日(火)深夜〉予定です。続いてNHK BSプレミアムでも放送されます。
妻が遺した日記と手紙から初めて明かされる、歌人夫婦の出逢いと命がけの愛の記録
戦後を代表する女性歌人・河野裕子(かわの・ゆうこ)さん。
彼女のもっとも有名な歌である、
「たとへば君 ガサッと落葉すくふやうにわたしを攫って行っては呉れぬか」
は、歌壇きってのおしどり夫婦と名高い永田和宏さんへの想いを読んだものと、永田さん自身も含め誰もが疑っていませんでした。
しかし、河野さんの死後10年、夫・永田和宏さんが、押し入れから発見した河野さんの遺した手紙300通と日記10数冊には、「二人のひとを愛してしまへり」という言葉とともに、当時10代だった河野さんが、永田さんの他に、もうひとり「N」という青年へのひたむきな愛の言葉が……。
この日記を読んでいくうちに、永田さんの心は若き日の河野さんとの思い出があふれだします。
はたして、河野さんが「君」と呼び掛けていたのは、その後夫となり生涯を共にした永田さんだったのか、それとも青年Nだったのか――。
そして、河野さんが遺したメッセージに呼応するように、永田さんも驚くべき告白を連ねていきます。
「知らぬまま逝ってしまつた きみを捨て死なうとしたこと死にそこねたこと」――。
熱く、性急で、誠実ゆえに傷つけあった若き日々――。本書は、理想のおしどり夫婦とされてきた二人のイメージを一変する、知られざる愛の記憶を描いた作品です。
本書の目次
はじめに
湖に降る雪ふりながら消ゆ
風のうわさに母の来ること
消したき言葉は消せざる言葉
手を触るることあらざりし口惜しさの
わが十代は駆けて去りゆく
青春の証が欲しい
さびしきことは言わずわかれき
二人のひとを愛してしまへり
あの胸が岬のように遠かった
きみに逢う以前のぼくに遭いたくて
わが頬を打ちたるのちに
わが愛の栖といえば
はろばろと美し古典力学
泣くものか いまあざみさえ脱走を
おほよその君の範囲を知りしこと
「夏がおわる。夏がおわる。」と
寡黙のひとりをひそかに憎む
今しばしわれを娶らずにゐよ
附記
おわりに
著者プロフィール
著者の永田和宏(ながた・かずひろ)さんは、1947年生まれ。滋賀県出身。歌人・細胞生物学者。
京都大学理学部物理学科卒業。京大再生医科学研究所教授などを経て、2020年よりJT生命誌研究館館長。日本細胞生物学会元会長。京大名誉教授。京都産業大名誉教授。歌人として宮中歌会始詠進歌選者、朝日歌壇選者をつとめる。「塔」短歌会前主宰。読売文学賞、 迢空賞などを受賞。2009年、紫綬褒章受章。近著に『知の体力』『置行堀』(第十五歌集)。
河野裕子さんと1972年に結婚。2010年、64歳で亡くなるまで38年間連れ添った。最後の日々を綴った著書に『歌に私は泣くだらう―妻・河野裕子 闘病の十年』(新潮文庫)がある。
あの胸が岬のように遠かった 永田 和宏 (著) 熱く、性急で、誠実でありたくて傷つけあった――。 「二人の人を愛してしまへり」――没後十年、歌人の妻が遺した日記と手紙300通から 「知らぬまま逝ってしまった きみを捨て死なうとしたこと死にそこねたこと」 ロングセラー『歌に私は泣くだらう――妻・河野裕子 闘病の十年』、最期の日まで愛を詠み続けた二人の物語は、この青春の日々から始まった。 反響を呼び、「書籍化はいつ」と問い合わせが相次いだ長期連載、ついに発売! ! NHKドラマ「あの胸が岬のように遠かった~河野裕子と生きた青春」原作 NHK BS1スペシャル「ほんたうに俺でよかつたのか」(2022年2月25日放送、3月10日再放送)で大注目 |
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