谷川直子さん〈老衰介護看取り〉小説『その朝は、あっさりと』が刊行
96歳の父を看取るまでの20日間、家族と介護士、看護師はどう関わるのか、誰もが迎える最期には何が必要か――見捨てない温かさに包まれた、谷川直子さんによる老衰介護看取り小説『その朝は、あっさりと』が朝日新聞出版より刊行されました。
老い、病、死にちかづくこと――じつはたっぷりした意味がある!
◆中島京子さん推薦!
老いとの闘い。死支度。「死下手」の一茶の俳句が、認知症のお父さんを支える。
家族のじたばた、いらだち、せつなさも、どこか飄々とした俳諧のようだ。
本書は、長寿社会という「最先端」の時代を生きる私たちに、道しるべとなる「老衰介護看取り小説」です。
【あらすじ】
元中学教師の恭輔は80代後半には認知症になり、骨折をきっかけに4年前からは在宅介護を受ける身の上だ。通称「かんたき」看護小規模多機能型居宅介護の看護師、介護士が自宅でのサポートをしているが、妻にとっては老老介護、かかわる子どもたちも還暦前後でらくではない。
オムツとトイレの大惨事、認知症の薬などを試みるが、次第に出来なくなってくることが増えていく。万一の場合には救急車をどうする?
96歳で息をひきとるまでの20日間、家族や介護者はどのように備えるのか。誰にとってもひとしく迎える最期はどのようなものなのか。死ぬときはどうなるのか。
そしてその日は信じられないほど「あっさりと」やってきたのだ。
老いや死も庶民の視線で、見捨てない温かさに満ちた、一茶の句が老境の恭輔を、そして周囲の人々を励まし続ける。
自分ごととして必ず来る老い、病、死をやわらかく問いかける、先を照らす小説。
本書の目次
一 三度目の危篤
二 トイレ地獄
三 先生と呼ばれて
四 みんな先に死んでいく
五 何もできない
六 ついのすみか
七 思い出の中の人
八 この世とのつながり
九 死ぬのにもってこいの日
一〇 その朝は、あっさりと
著者プロフィール
谷川直子(たにがわ・なおこ)さんは、1960年生まれ、神戸市出身。筑波大学卒業。2012年『おしかくさま』で文藝賞を受賞。
著書に、小説『断貧サロン』『四月は少しつめたくて』『世界一ありふれた答え』『私が誰かわかりますか』『あなたがはいというから』『愛という名の切り札』、エッセイ『競馬の国のアリス』『お洋服はうれしい』などがある。
その朝は、あっさりと 谷川 直子 (著) |
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