本のページ

SINCE 1991

「医学部9浪」の娘はなぜ母を刺殺したのか?齊藤彩さん『母という呪縛 娘という牢獄』が刊行

齊藤彩さん著『母という呪縛 娘という牢獄』

齊藤彩さん著『母という呪縛 娘という牢獄』

母親に医師になることを強要され、医学部9浪の果てに母をバラバラ殺害した顛末を克明に追った、齊藤彩さん著『母という呪縛 娘という牢獄』が講談社より昨年12月17日に刊行されました。版元には、通常より多くの読者、とくに子育て世代&女性たちを中心に、「他人事ではない」との声が続々寄せられ、売り切れ店続出でたちまち4刷の反響となっています。

 

「モンスター」の遺体は市が・野洲川河川敷に捨てられた――

深夜3時42分。母を殺した娘は、ツイッターに、
「モンスターを倒した。これで一安心だ。」
と投稿した。18文字の投稿は、その意味するところを誰にも悟られないまま、放置されていた――。
娘は犯行後、母の遺体をバラバラに解体し河川敷に捨て去ったが、罪の意識も悲しみも当時はとくに感じなかった、と語っている――。

 
昨年12月17日に発売された『母という呪縛 娘という牢獄』が、ノンフィクションジャンルの書籍としては異例の熱い注目を集め、話題となっています。発売から1ヵ月以上が経過し、Amazonをはじめとするネット書店、実店舗ともに完売店が続出。早くも4刷に達しましたが、加えて、Web上の書き込み、編集部に届いた読者はがきの量が通常より遙かに多く、また様々な想いを打ち明ける声が多数寄せられているそうです。

 
本書は刊行当初から、講談社のニュースサイト「+αオンライン」を中心に内容紹介記事を連続して公開し、多くのPVを獲得してきましたが、1月26日に公開された「『大恥かかせやがって!』医学部9浪を経て58歳母をバラバラ死体にした娘が告白する『地獄の高校三者面談』」(+αオンライン)という記事をきっかけに、各ネット書店を中心にランキングが急上昇。記事掲載の翌日には、在庫がすべてなくなってしまうネット書店が相次ぎました。

★「大恥かかせやがって!」医学部9浪を経て58歳母をバラバラ死体にした娘が告白する「地獄の高校三者面談」:https://gendai.media/articles/-/105007

 
販売担当の方は、次のように語ります

「刊行当初からネット書店で購入される傾向が強いだろうと予測し、通常よりネット書店への配本を増やしていましたが、予想を上回る大反響でした。ネットニュースを通して、殺人犯として獄中にいる娘の肉声などを読んだ女性読者から、『自分が同じ立場なら同じことをしたかもしれない』、『娘さんには罪を償った後は、是非幸せになって欲しい』などの声が寄せられています。
購入読者は、女性が全体の三分の二以上を占めますが、逆にみれば男性も三分の一弱います。年代別で多いのは30代・40代の子育て世代、次いで50代以上となります」。

 
以下は、「読者はがき」で寄せられた声からの抜粋です。

《まさに一気読みでした。この問題は他人事じゃない》
《一気読みしました。事件の実情が写真に収められたかのようによく分かり、報道の真摯な姿勢が伝わってきました》
《通常の報道ではここまで掘り下げることはないゆえ、知ると見えてくるものが沢山あった》
《どす黒い、怖い本かと思いましたが、途中から涙が出て、自分の娘に謝りたくなりました。一気読みでした》
《私も母親として娘との関係に悩むことが多いです。娘さんの「再起」を祈ります》
《家族の在り方、教育の在り方など、多くの問い掛けをされているような、珠玉の作品》

 

著者プロフィール

著者の齊藤彩(さいとう・あや)さんは、1995年生まれ、東京都出身。2018年3月北海道大学理学部地球惑星科学科卒業後、共同通信社入社。新潟支局を経て、大阪支社編集局社会部で司法担当記者。2021年退職。本書が初めての著作となる。

 

母という呪縛 娘という牢獄
齊藤 彩 (著)

深夜3時42分。母を殺した娘は、ツイッターに、
「モンスターを倒した。これで一安心だ。」
と投稿した。18文字の投稿は、その意味するところを誰にも悟られないまま、放置されていた。
2018年3月10日、土曜日の昼下がり。
滋賀県、琵琶湖の南側の野洲川南流河川敷で、両手、両足、頭部のない、体幹部だけの人の遺体が発見された。遺体は激しく腐敗して悪臭を放っており、多数のトンビが群がっているところを、通りかかった住民が目に止めたのである。
滋賀県警守山署が身元の特定にあたったが、遺体の損傷が激しく、捜査は難航した。
周辺の聞き込みを進めるうち、最近になってその姿が見えなくなっている女性がいることが判明し、家族とのDNA鑑定から、ようやく身元が判明した――。
髙崎妙子、58歳(仮名)。
遺体が発見された河川敷から徒歩数分の一軒家に暮らす女性だった。夫とは20年以上前に別居し、長年にわたって31歳の娘・あかり(仮名)と二人暮らしだった。
さらに異様なことも判明した。
娘のあかりは幼少期から学業優秀で中高一貫の進学校に通っていたが、母・妙子に超難関の国立大医学部への進学を強要され、なんと9年にわたって浪人生活を送っていたのだ。
結局あかりは医学部には合格せず、看護学科に進学し、4月から看護師となっていた。母・妙子の姿は1月ころから近隣のスーパーやクリーニング店でも目撃されなくなり、あかりは「母は別のところにいます」などと不審な供述をしていた。
6月5日、守山署はあかりを死体遺棄容疑で逮捕する。その後、死体損壊、さらに殺人容疑で逮捕・起訴に踏み切った。
一審の大津地裁ではあくまで殺人を否認していたあかりだが、二審の大阪高裁に陳述書を提出し、一転して自らの犯行を認める。

母と娘――20代中盤まで、風呂にも一緒に入るほど濃密な関係だった二人の間に、何があったのか。
公判を取材しつづけた記者が、拘置所のあかりと面会を重ね、刑務所移送後も膨大な量の往復書簡を交わすことによって紡ぎだす真実の物語。
獄中であかりは、多くの「母」や同囚との対話を重ね、接見した父のひと言に心を奪われた。そのことが、あかりに多くの気づきをもたらした。
一審で無表情のまま尋問を受けたあかりは、二審の被告人尋問で、こらえきれず大粒の涙をこぼした――。
殺人事件の背景にある母娘の相克に迫った第一級のノンフィクション。

 
【関連】
「大恥かかせやがって!」医学部9浪を経て58歳母をバラバラ死体にした娘が告白する「地獄の高校三者面談」(齊藤 彩) | +αオンライン | 講談社
滋賀県河川敷で58歳母がバラバラ死体に…逮捕された30代娘が明かした「医学部9浪」の衝撃と母との確執(齊藤 彩) | +αオンライン | 講談社

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です