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小説家・柚木麻子さん初のエッセイ集『とりあえずお湯わかせ』が刊行

柚木麻子さん著『とりあえずお湯わかせ』

柚木麻子さん著『とりあえずお湯わかせ』

作家・柚木麻子さんのごはんと育児とフェミニズムをめぐる4年間の記録、NHKテキスト『きょうの料理ビギナーズ』とWebマガジン「NHK出版 本がひらく」で連載中のエッセイ「とりあえずお湯わかせ」が書籍化され、『とりあえずお湯わかせ』としてNHK出版より刊行されました。

 

育児とごはんから、社会問題やフェミニズムについても縦横無尽に語りつくす!

はじめての育児、コロナ禍、フェミニズムに政治不信。どんな時も、とりあえずお湯を沸かせば、あなたも私も大丈夫。
このエッセイもまた、公開の日記帳だ。前向きで後ろ向きで、頑張り屋で怠け者で、賢く浅はか、独特な人物の日々の記録だ。(「はじめに」より)

 
――はじめての育児に奮闘し、新しい食べ物に出会い、友人を招いたり、出かけたり――。そんな日々はコロナによって一転、自粛生活に。閉じこもる中で徐々に気が付く、世の中の理不尽や分断。それぞれの立場でNOを言っていくことの大切さ、声を上げることで確実に変わっていく、世の中の空気。食と料理を通して、2018年から2022年の4年間を記録した、人気作家・柚木麻子さんのエッセイ集です。

各章終わりには書き下ろしエッセイも収載。

印象的な帯

印象的な帯

 

「はじめに」より

このエッセイの依頼が来たのが妊娠中。2018年、出産後まもなく連載を開始し、かれこれ四年続いている。今こうして読み返してみると、なんだかんだと滑稽な話ばかりだが、正直なところ、私はいろいろ思い出して悲しくなっている。~~最初に悲しいと書いたが、この悲しみは、読者さんが面白がってくれることで、昇華されるかなと思っている。私にとって書くことは常に救済だ。こうやってタイトルにしないとすぐに忘れるが、どんな時もとりあえずお湯を沸かせれば、あなたも私も大丈夫。

 

「アメリカンダイナー」より

~~今回から始まったこの連載、タイトルは母の口癖だ。何も手につかない時はお湯を沸かせ、そうすればお茶を飲むなり、野菜を茹でて一品つくるなり、最低でも部屋を加湿できる、いわば停滞を脱するとっかかりを最もハードルの低いところでつかめ、という家訓のようなものだ。私自身大変な面倒くさがりなので何かを簡略化するセンスはある方だと思う。この連載が忙しい読者のみなさまがへとへとな時、重い腰を上げる手助けになればいいな、と思っている。

 

本書の目次

はじめに

1.うちにおいでよ 2018年1月~12月
アメリカンダイナー/ご法度/インスタ叩き叩き/母の名言/母にだけ見えている/スーパーマーケット/レギュラー・オープンハウス・システム(前後編)/大人のおやつ/大阪旅行/完全食/地下街/もみの木/モテスクラップブック/後日談 2022→2018(書き下ろし)

2.うちの味、外の味 2019年1月~12月
クラシカルレシピ/誕生日プレゼント(前後編)/アートワーク/公園/ファッションフード/カップ焼きそば/味噌汁/それ(前後編)/メキシコ料理/アイデア/後日談 2022→2019(書き下ろし)

3.そしてコロナがやってきた 2020年1月~12月
家出(前後編)/おうち居酒屋/非常時/紙芝居/ママに武器なんていらない/ハンドミキサー/自粛明け/アフタヌーンティー/今日もなにもできなかった/誕生日/アップルパイ/記憶に残る店/クリスマス/ライフハック/後日談 2022→2020(書き下ろし)

4.もう、黙らない 2021年4月~2022年3月
一番の好きな料理はなんですか?/「新しい」こいのぼり/ただいま、勉強中/楽しむ姿を見せること/ステイホームの工夫疲れ/顔ハメ看板/幸せそうで、何が悪い/徹夜明け/ホッとできない私へ/大人のいい女(前後編)/クリスマスの試食販売/集中できる場所/手巻き寿司/子連れで、恐怖しない世の中を

あとがき

 

著者プロフィール

著者の柚木麻子(ゆずき・あさこ)さんは、小説家。1981年生まれ、東京都出身。2008年「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞し、2010年に同作を含む『終点のあの子』でデビュー。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞を受賞。

ほかの作品に『私にふさわしいホテル』『ランチのアッコちゃん』『伊藤くんAtoE』『本屋さんのダイアナ』『マジカルグランマ』『BUTTER』『らんたん』『ついでにジェントルメン』などがある。

 

とりあえずお湯わかせ
柚木 麻子 (著)

 


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