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「第32回Bunkamuraドゥマゴ文学賞」授賞式をYouTubeライブ配信へ ロバート キャンベルさん×木村紅美さん記念対談も

ロバート キャンベルさん、木村紅美さん

ロバート キャンベルさん、木村紅美さん

東急文化村は、木村紅美さんによる小説『あなたに安全な人』が受賞した第32回Bunkamuraドゥマゴ文学賞の授賞式を10月17日(月)に開催し、授賞式の模様をBunkamura公式YouTubeチャンネルにてライブ配信します。

 

第32回Bunkamuraドゥマゴ文学賞 授賞式 概要

授賞式の模様をBunkamura公式YouTubeチャンネルにてライブ配信します。選考の過程や受賞者の思いをリアルタイムでご覧ください。

受賞作『あなたに安全な人』

受賞作『あなたに安全な人』

■受賞作:木村紅美さん著『あなたに安全な人』(2021年10月 河出書房新社刊)

■選考:ロバート キャンベルさん」

■賞の内容:正賞 賞状+スイス・ゼニス社製時計、副賞 100万円

■授賞式日時:2022年10月17日(月)
◎贈呈式:17:30~
◎両氏による記念対談18:00~ ※19:00終了予定

■会場:Bunkamura館内(東京都渋谷区道玄坂2-24-1)

★授賞式のライブ配信詳細:https://www.bunkamura.co.jp/bungaku/topics/6616.html

※贈呈式は後日、Bunkamura公式YouTubeチャンネルにて配信します。
※記念対談は後日、Bunkamura STREAMINGにて無料配信します。

 

受賞者プロフィール

受賞者の木村紅美(きむら・くみ)さんは、1976年生まれ、兵庫県出身。小学校六年生から高校卒業まで宮城県仙台市で過ごし、現在岩手県盛岡市在住。明治学院大学文学部芸術学科卒業。2006年に「風化する女」で文學界新人賞を受賞しデビュー。

著書に『風化する女』『月食の日』『夜の隅のアトリエ』『まっぷたつの先生』『雪子さんの足音』等がある。

 
<木村紅美さん 受賞の言葉「不穏さの裏側にある何か」抜粋>

八月のある夜、ロバートキャンベルさんがBunkamuraドゥマゴ文学賞に『あなたに安全な人』を選んでくださったと知らされ、跳びあがった。驚きと喜び、不思議さが混ざりあい、眠れなくなった。朝まで、蝉と鈴虫の声に耳を澄ませていた。
(中略)
選評にある「不穏としか言いようのないような感覚を理屈や説明抜きに」書こうと、私は、むかしから好きな作家たちに触発され新しい小説も読みながら、試行錯誤をくり返してきたように思う。「ポッド」で息を殺しあう妙と忍の「打算と孤独と生きる一種の才能」は、おそらく、あの日読んだ『白痴』から受け継いだ。ここまで来るのに、十年あまりかかった。いつも、プロットなし、一行さきの展開すら掴めない書き方で書きつづけてきて迷走も多いけれど、この書き方しかできない。いま、受賞に心底感謝し励まされている。
(後略)

 

選考委員プロフィール

選考委員のロバート キャンベル(Robert Campbell)さんは、ニューヨーク市出身。専門は江戸・明治時代の文学、特に江戸中期から明治の漢文学、芸術、思想などに関する研究を行う。

主な編著に『日本古典と感染症』(編)、『井上陽水英訳詞集』、『東京百年物語』、『名場面で味わう日本文学60選』(飯田橋文学会編)等がある。YouTubeチャンネル「キャンベルの四の五のYOUチャンネル」配信中。

 
<ロバート キャンベルさん 選評「見えないモノから身を守るポッド」抜粋>

(前略)
『あなたに安全な人』の著者は、人々の心に巣喰う漠とした不安に向かおうとしている。まるでコテで塗り上げ乾燥させた、並列的で短く区切られた壁のような文章で書き切っている。読みながら、わたくしは長く続く言葉の壁に見入り、喉の奥でいがいがするものを覚えた。文学作品、つまり物語だから当然ともいえるけれど、不穏としか言いようのないような感覚を理屈や説明抜きにひしひしと畳み掛けてくる。世界を覆う不均衡(インバランス)に声と形を与えようとしている点において、ひとまず高い評価に値する作品であることは間違いない。日々、自分の体に刻まれる無数の小さな引っ掻き傷を、あたかもページをめくりながら指で確かめるごとき違和と、納得感を得た。読後感は、けっして爽やかなものではない。
(中略)
小説を読みながら、わたくしは今生きなければならない社会のプレカリティ(precarity. 漠とした不安定さ)とも言える不穏な足どりがかいま見えた気がした。富める者も富めない者も、直面しなければならない社会の病理を基底から清潔に、かつ稠密に配置したフィクションの上から、指で触れ、感覚として追体験できる一冊である。けっして結ばれることのない他者同士の打算と孤独と生きる一種の才能は、行間にあふれ、混ざった色として目の前に現れるのであった。

★詳しくはこちら:https://www.bunkamura.co.jp/bungaku/winners/32.html

 

あなたに安全な人
木村紅美 (著)

尾崎世界観推薦!

「ここ最近、分断を許さないことで起きる分断のせいで、空気を読むのにずっとうんざりしていたから、ひたすら気配を読むこの読書が幸福だった。」
「互いの気配は、ときどき、幽霊がいるのかな、とでもびくっとさせるくらいに漂わせるのが理想です」(本文より)

3.11直前に教え子をいじめ自殺に追いやってしまったかもしれない元教師の妙と、沖縄新基地建設反対デモの警備中にデモ参加者を不慮の事故で死なせてしまったかもしれない便利屋の忍。
過去の出来事に苛まれるふたりは、「感染者第一号」を誰もが恐れる地で出会った。
人が人を傷つけ、傷つけられる世界で、「東京からの移住者」が遂げた謎の死をめぐり、ふたりの運命は動き出す――。

 
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